【連載】
『羽村動物小国』(第3回:今日から仲間さ…キャバリアという犬種)


 99年9月22日21時15分。小雨の降る羽田空港に、定刻よりやや遅れて北海道から貨物専用便が到着した。それから待つこと…約45分、青いネットにくるまれた見覚えのあるキャリアがようやっとカウンターに現れた。職員の方とキャリアにかかっているネットを外していると、中からは“パタパタ・パタパタ”とシッポでキャリアの内面を叩く音がしている。
 生家を出て初めての4時間以上の長旅だというのに…全然動じていない?ネットを外し終わり、前面の格子越しの対面…
「はいはいはい〜」今まで画像でだけ見続けてきた顔が、ひとり…ふたり…ハハハ〜元気そうだねぇ。
 兄“ほくと”、弟“しちべい”は、北海道苫小牧で7月1日、レオ父さん・シンシア母さんからふたりっきりの兄弟で生まれた。そして2ヶ月と3週間後、ふたり揃って東京にやって来た。受け取り手続きを済ませ早速キャリアを車の中へ。車の中では待ちわびていたゆずか姉さん。まさか弟が…それも一気にふたりもとは…夢にも思うまい。
 後部座席にキャリアを固定しひとまず水。そして小国に向けて最後の車での移動だ。

 キャバリア、正式名は『キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(CKCSとも略)』。イギリスでは最も登録数の多い犬種の一つで、日本でもここ数年登録数ベスト10…とは言わないまでもベスト20以内には確実に入ってきている。しかし見れば「あ〜はいはいはい…」と言っても、名前と姿が一致しない人が多いようで、知名度は今ひとつ?

 似た名前に『キング・チャールズ・スパニエル』という犬種がある。キャバリアがここからの派生種と思われている方もいるようだが、歴史を辿るとどうも逆で、元来キャバリの派生種が現在の『キング・チャールズ・スパニエル』のようで、ただ20世紀初頭の頃には諸事情から『キング・チャールズ・スパニエル』の方が主流となり、キャバリアで繁殖に使えるのは6頭にまで減ってしまったという説もある。そうだとしたら、そこから交配を繰り返し、ライン・ブリーディング(系統繁殖)して、均一に固定させて15世紀〜16世紀のタイプと同じ姿に復元させたのは、並大抵の苦労ではなかったろうと思う。恐らく、イン・ブリード(近親繁殖)もされたことでしょう。

 カラーは大きく分けて2系統、“ホールカラー”と言われる、ルビー(赤茶)、ブラック・タン(黒・こげ茶)、そして“パーティカラー”と言われる、ブレンハイム(白・茶)、トライカラー(白・黒・茶)。中でもブレンハイム(白・茶)が一般的に多く見られる。繁殖の基本は同系カラー内でのみ行われる。

 犬種としての性格は、とにかく人懐こく献身的・天真爛漫・ヒトに対しても他の動物に対しても(基本的に)フレンドリー。言うことのない、理想の家庭犬の一つと言えるのではないかと今更ながら痛感している…。

 ただ一つ大きな問題があるとするならばそれは心臓疾患。欧米等では既に常識?として(動物)医学的にも認知されていることなのだが、日本ではどうもそういった意識が(少)なく…まだまだ商売が優先してしまっている傾向が見られる。恐らく一般のショップなどでは(そういう疾患を)知らない所も多いんじゃないだろうか。

『僧帽弁閉鎖不全症』
 元来老小型犬に見られるいわゆる老犬病。それがキャバリアの場合若年(2〜3歳から)で発症してしまう(先天性もいる)。明らかな遺伝性疾患として、世界中のまず100%のキャバリアがその因子を持っていると言われる。しかし、因子を持っていると言っても100%発症し、100%重病で、100%死に至るわけではない。現在では各種の良い薬などもある。子犬の時に健康優良児でも、2〜3歳過ぎ頃からこまめな心音のチェックを受け、早期発見で、疾患とうまく付き合って行く、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上、ということが重要となって来る。

 またもう一つ重要なこととして、次の世代(子孫)をどうするかということだが、ハッキリ言って一般的には諦めることが賢明。理由は上記の疾患で、仮に自分の家の子が系統的に発症しやすい血筋だったとしたら、そこでそのラインをカットしなくてはいけないからだ。そのラインかどうか分からないなら諦めること。どうしても子供が欲しいと思ったのなら少なくとも、その子の兄弟・父母・父母の兄弟・祖父母・祖父母の兄弟…くらいまでの発症例(健康状態)を知る必要がある。これでも万全というわけではないが…今はこういったことで可能性を探るしか方法がないのが事実・・・(人の健康診断の時にも、問診票などで血縁の病歴などを書くのと同じように…但し、現在それを簡単に調べる術はない)
 将来的にDNAによる遺伝因子の鑑定といったような方法が一般的にならないかぎり、より確実な事前の検出方法は…ない

 ここまで書くと「そこまで苦労して一緒に暮らすことはないじゃ…」と感じられる方もいるでしょう〜当然ですね。でも…それでもかつ魅力ある犬種…というのがウソ偽りのない事実なのです。

 車が小国に着いた時、日付は既に23日に変わっていた。ほくと・しちべい、初めてのお出かけが…何と生家を出てから6時間余り、飛行機には乗るは〜車には揺られるは〜という長旅になってしまった。もうゆっくりお休みだろう〜と思いつつも、試しにフードを与えてみる…と、食べる!ガンガン食べる!!あげたフードをぺろりと平らげ振り返って、まるで「もっとない?」と催促でもするかのような仕草…「ハハハ、今晩はそれくらいにしとき!」

 初めてゆずかさんを迎えてから早3年3ヶ月。当時、犬初体験のワタシは数冊の本を片手に、怒ったり・誉めたり・笑ったり・泣いたり、それこそ手探りで大騒ぎの躾?を繰り広げた…。今回は2度目とはいえW…。精神的には余裕があるつもりだが、何しろ今度は先住犬のゆずかさんへの対応にも気を配らないといけない。

 とにかく最初にしなきゃいけないことは、トイレの躾と万全のワクチンプログラムをこなすこと。
ワクチンプログラムは、生後2ヶ月で1度目の混合ワクチン接種(今回は北海道で7種済み)、3ヶ月で2度目の混合ワクチン接種(8種)、3ヶ月半で狂犬病ワクチン接種…昔はここまででよいという認識もあったようだがこれではまだまだ…4ヶ月で3度目の混合ワクチン接種(8種)、そして数日後晴れて公園デビューとなる。
 まぁねぇ〜とかく早く公園デビューをさせたいという気持ちにはなりがちだが、これからのみんなの長い犬生?を考えたら、最初の4ヶ月余は焦っちゃイカン〜と考える。

犬の基本的なワクチンプログラム例

生後2ヶ月 1度目の混合ワクチン接種 他の人や犬との接触はまだできるだけ避け、抱っこ等での外出で外の雰囲気に慣らす
生後3ヶ月 2度目の混合ワクチン接種 この1週間後くらいから、場所限定(庭など)で外での自由時間
(季節に応じてはフィラリア薬の服用を開始)
生後3ヶ月半 狂犬病ワクチン接種  
4ヶ月 3度目の混合ワクチン接種 この後1週間くらいしたら、晴れて公園デビュ〜

 それに小国の場合は、この間を利用して先住犬のゆずかさんとのより良い友好関係を作って欲しいと考えている。公園デビューの時には仲良し『チーム・キャバリア』として、皆さんの前に登場したいものだから…。
 そうそう、そのゆずか姉さんだが、ほくと・しちべいを迎えた後、10月早々に約1週間の入院で避妊手術を受けた。3歳7ヶ月での施術は決して早い対応ではない…しかし、これからのゆずかさんには、チームリーダーとして“お局?”街道まっしぐら!長生きしてもらわなければ…。

 

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